近年人気が高まっている世界遺産ですが、そのなかに「負の世界遺産」というものがあることを知っていますか?
日本にもありますが、名前のとおりネガティブな歴史があります・・・
今回は負の世界遺産とされる条件や、日本や世界にある負の世界遺産についてお伝えします。
世界遺産とは
世界遺産について一言で説明すると『後世に伝えるべき遺跡や自然』のことです。
世界遺産条約を締約している国から推薦された遺産について、年一回行われる世界遺産委員会で登録するかどうかが審議されます。
詳しくはこちらをご覧ください。
負の世界遺産とは
負の世界遺産とは、世界遺産のうち人類が犯した悲惨なできごとを伝え、後世に伝えるための遺跡。
たとえば、下記のできごとがあった場所が負の世界遺産とされることが多いです。
・人種差別
・奴隷貿易
・核実験
なお、負の世界遺産は日本独自の分類であり、ユネスコが公式に分類していません。
明確な登録基準はないものの、負の世界遺産には10個ある世界遺産登録基準のうち、登録基準6が含まれています。
日本にある「負の世界遺産」
日本にある世界遺産は1つのみ。それは広島にある『原爆ドーム』です。
原爆ドームは戦争直後は平和の象徴として残すか、それとも忌まわしい記憶として解体するか意見が分かれましたが、保存することが決定しました。
その後、1993年に「原爆ドームの世界遺産化をすすめる会」が発足、その後1996年に世界遺産に登録されました。
世界にある「負の世界遺産」
世界には負の世界遺産とされている遺産が約20件あります。
そのうち、日本人にも馴染みがあるのが次の3軒。
まず1件目は『アウシュヴィッツ=ビルケナウ ナチス・ドイツの強制絶滅収容所』。
ヒトラー率いるナチスドイツが、ユダヤ人の大量虐殺を行った施設として知られています。
そして2件目は『ロベン島』。
アパルトヘイト(人類隔離政策)に反対した政治家などを閉じ込めた刑務所がある場所で、南アフリカ共和国の大統領も務めたネルソン・マンデラ氏も投獄されていました。
最後の3件目は『ビキニ環礁の核実験場跡』。
幾度となく核実験が行われた場所であり、この地で行われた水爆実験の影響で日本のマグロ漁船・第五福竜丸が被ばくしました。
負の世界遺産の意義
広島の原爆ドームが世界遺産として登録された際、アメリカから戦争に関する遺跡は世界遺産に登録することに対して否定的な意見が出されました。
また、日本国内でも有識者の中には、負の世界遺産に対して否定的な見解を示す人もいます。
僕は負の世界遺産は『後世に伝えるべき遺産や自然』という世界遺産の理念に合致しているので賛成です。
現状は非公式ですが、正式に世界遺産として分類し登録基準を示してほしいと思います。
まとめ
世界遺産に登録されると観光客が増えるなどの華やかな面がクローズアップされますが、負の世界遺産のように考えさせられる面も持っています。
毎年増え続ける世界遺産ですが、これを機に世界遺産について勉強してはいかがでしょうか。