日本には世界遺産に認定された場所が多くあり、日本の象徴ともいえる富士山もその一つ。
しかし、世界遺産のなかでも自然遺産ではなく文化遺産として登録されています。
「山なのに自然遺産じゃないの?」と思われるかもしれませんが、文化遺産として登録されたのにはワケがあります。
今回は富士山が世界遺産に登録された経緯、および文化遺産として登録された理由についてお伝えします。
世界遺産とは
世界遺産とはUNESCO(ユネスコ:国連教育科学文化機関)の活動の一つで、『後世に伝えるべき自然や遺産』のことです。
世界遺産は形や生態系、絶滅の恐れのある動植物が対象の自然遺産と建築物や遺跡、景観などが対象となる文化遺産に分類されます。
世界遺産についての詳細はこちらをご覧ください。
富士山は世界遺産に登録されています
富士山は2013年に『富士山ー信仰の対象と芸術の源泉』という名称で世界遺産(自然遺産)に登録されました。
ただし富士山単独ではなく、世界遺産を構成する資産のひとつなのです。構成資産は次のとおり。
・白糸ノ滝
・富士山域(山頂の信仰遺跡群、登山道、西湖、精進湖、青木ヶ原樹海などを含む)
・三保松原
・河口湖、山中湖
・船津胎内樹型、吉田胎内樹型
・河口浅間神社、須山浅間神社、山宮浅間神社、村山浅間神社、冨士浅間神社、冨士御室浅間神社、富士山本宮浅間大社
・御師住宅(旧外川家住宅、小佐野家住宅)
・人穴富士講遺跡
富士山の世界遺産登録の経緯
富士山を世界遺産に登録しよう、という機運が高まったのは1992年。静岡&山梨両県自然保護団体により「富士山を世界遺産とする連絡協議会」が発足しました。
当初は自然遺産への登録を目標として活動していましたが、1995年に登録に向けての調査を行っている国際自然保護連合(IUCN)より、下記の点を指摘されてしまいます・・・
・固有種生態系の無さ
また山としても世界的に見て特筆すべき点はなく、ゴミの処理などの問題もありこのまま申請しても世界遺産登録は難しいと判断され、推薦は見送られました。
2005年ごろより「自然遺産が難しいなら文化遺産での登録を目指そう」という流れとなり、下記の点をもとに申請の準備を進めました。
・富士山をモチーフとした浮世絵が描かれるなど、美術面への影響も大きい
2006年に世界遺産暫定リストに登録されたのち2011年に日本からの世界遺産候補として決定、調査および世界遺産委員会での審議を経て、2013年に正式に世界遺産(自然遺産)に登録されました。
まとめ
世界遺産は登録されたら終わり、ではありません。
富士山の場合であれば自然を守るとともに、ゴミ対策などの環境問題にも取り組んでいく必要があります。
もし訪れることがあれば、その点に注意して観光しましょう。