近年人気が高まっている世界遺産。
世界遺産に登録されるまでには長い準備&審査が必要ですが、登録されることにより観光客の増加などのメリットがあります。
しかし一度登録されても、場合によっては登録が取り消される(抹消される)ことも・・・
今回は世界遺産から抹消される理由、および抹消された遺産とこれから抹消される可能性がある遺産についてお伝えします。
世界遺産とは
世界遺産とは、簡単に説明すると『後世に残すべき遺跡や自然』です。
毎年開催される世界遺産委員会で世界遺産への登録可否が審議され、登録基準を満たしていると判断されると正式に登録されます。
日本も知床や屋久島、日光東照宮などが世界遺産に登録されています。
世界遺産について、詳しくはこちらをご覧ください。
なお、世界遺産に登録された場所には、下記のような石碑や看板が建てられています。
世界遺産から抹消されるケース
世界遺産は『顕著な普遍的価値』を有していることが登録の条件となっています。
世界遺産から抹消されるのは、この顕著な普遍的価値を持たなくなった場合。
たとえば自然の美しさが評価されたにも関わらずその自然が失われたり、当時の建築工法が評価されたにも関わらず現代の工法で修繕されてしまった場合などです。
今までに抹消された世界遺産
2021年までに抹消された世界遺産は次のとおり。
・ドレスデン・エルベ渓谷(ドイツ:2009年に抹消)
・海商都市リヴァプール(イギリス:2021年に抹消)
アラビアオリックスの保護区は密猟の取り締まりの不十分さにより頭数が大幅に減少し、また保護区の設定区域の90%削減を打ち出したことにより、世界遺産から抹消されました。
ドレスデン・エルベ渓谷は景観の美しさが評価されていたものの、ドレスデン市街の渋滞緩和を目的とした橋を渓谷に架けることが決定し、実行に移されたことから抹消されました。
また、海商都市リヴァプールは18~19世紀の面影を残す街並みが評価されていましたが、都市開発により景観が破壊されているため、世界遺産から抹消されました。
これから抹消されるかもしれない世界遺産
抹消される可能性がある遺産は、現時点で危機遺産に登録されている可能性が高いです。
危機遺産リストとは、紛争や自然災害、都市開発、密猟などにより顕著な普遍的価値を損なう状態にある遺産が登録されており、改善される見込みが無ければ世界遺産から抹消されます。
2020年時点で危機遺産リストに登録されているうち、特に有名なものは下記のとおりです。
・エルサレムの旧市街とその城壁群(エルサレム)*不安定な周辺情勢
・ウィーン旧市街地(オーストリア) *都市開発による景観が損なわれる懸念
・スマトラの熱帯雨林(インドネシア)*密猟および違法伐採
危機遺産リストに登録されたのち、今後改善する見込みが無くなったと判断された時点で抹消に関する審議が行われます。
まとめ
現時点で日本の世界遺産が抹消されることは無さそうです。
しかし今後、自然破壊や動物の絶滅、建物の破壊等があった場合は抹消(または構成要素からの除外)される可能性もあります。
もし世界遺産を見に行くときは、遺産を傷つけないように注意しましょう!