2017年に発生した、旅行代理店・てるみくらぶの破産問題。
この問題で多くの旅行者が、絶望の谷底に突き落とされることに・・
今回はてるみくらぶ破産問題を振り返りつつ、再発防止に向けた対応を紹介します。
てるみくらぶとは
てるみくらぶは1998年に設立された、海外パッケージツアーを格安で提供することをウリにした旅行代理店です。
てるみくらぶ破産問題を振り返る
2017年3月に突然、てるみくらぶは150億円もの負債を抱えて破産しました。
前年までは売上好調!と言った感じだったので、突然の倒産にビックリした人も多いのでは?
僕はてるみくらぶを利用したことはありませんが、昔から知っていたので本当に驚きました。
経営は2013年ごろから、総利益がマイナスの状態が続いていたようですが、粉飾決算などで表面上は経営状態に問題がないように装っていたようです。
一番の被害者はてるみくらぶ経由に申し込んだ旅行者。
おもな被害内容は次の3点。
- 支払った旅行代金が返ってこない
- ホテルや帰りの飛行機が予約できていない
- 就活生の内定取り消し
どれもひどいですが、出発した後でホテルや帰りの飛行機が予約できていないのは最悪ですよね・・・
倒産することがハッキリしているにも関わらず、ずっとツアー申込受付を行っていたのは悪質すぎ。
パックツアーを利用する方は、自分で航空券やホテルを予約する機会は少なめ。
そんな状態で、現地に着いたら「ハイ、あとは頑張って!」と言われても、どうしたら良いか分からないですよね・・・
ヨーロッパやアジアの都市部など、日本人が多いところなら何とかなるかもしれませんが、秘境ツアーに出かけた人は全員帰れたのでしょうか・・・
新ガイドラインが作られる
てるみくらぶ破産問題を受けて、日本旅行業協会(JATA)は「海外募集型企画(パッケージ)旅行の企画・実施に関する指針」を発表しました。
ガイドラインの大まかな内容は次のとおりです。
1.パッケージ旅行の代金を旅行開始の60日より前に受け取る場合は旅行代金の20パーセント以内とする2.ただし下記の場合は20パーセントを超えても良い
- ウェブサイトやパンフレットなどの取引条件説明書面に申込金の使い道を記載している
- 料金の支払方法として、1の内容とクレジットカードによる一括払いする方法、および支払い手段を選択する方法を提示したうえで旅行者がクレジットカードによる一括払いを選択した時
- 企画旅行業者が1の内容を示しているにも関わらず、旅行者が全額または旅行代金の20パーセントを超えた金額を支払う意思がある時
3.企画旅行業者(パックツアー主催会社)は取引条件説明書面に申込金の使い道を記載した場合は、旅行サービス提供機関(ホテルなど)やツアーオペレーター(旅行会社の依頼により海外旅行の現地手配を行う会社のこと)などに表示された使い道に基づいて適切に支払う
4.企画旅行業者は旅行の広告や取引条件説明書の書面、旅行者の募集に対して申込金を異常に膨らませていると疑われる行為を行わない。
※新ガイドラインは2017年12月21日に発効されました。
※詳しくはJATAのホームページをご覧ください。
新ガイドラインにすぐ対応するのは難しいので、2018年下期(10月~)の反映を目指すようです。
新ガイドラインの効果はあるのか
今回のガイドラインに沿えば、一定の効果はあります。
たとえば『現金一括入金キャンペーン』『あと○分』『本日のセール』『今なら○円引き』など、支払いや予約をうながす表示はNGなので、てるみくらぶが用いた集金の方法による被害者は少なくなります。
しかし、『旅行代金における申込金の比率が20パーセントを超えても問題ない』とするケースがあるのは気になります。
たとえば例外を適用するために、取引条件説明書の書面に申込金の使い道は書いてあるが、虫めがねを使わなければ見えないほど小さくしたり、文章を読みたく無くなるほどの長文で書くなど、サギの常とう手段ともいえる方法があります。
てるみくらぶ問題の悲劇を繰り返さないためにも、利用者を守るしくみをシッカリ作り上げて欲しいですよね。
もし自分が海外に取り残されたら?
てるみくらぶ問題のように、ホテルや帰りの航空券が無いことが分かった場合は、まず大使館に頼ってください。
念のため、旅行前に大使館の場所を調べておくと確実です。
大使館の場所がわからない、または遠すぎていけない場合はスマホや周りにいる日本人に聞いて最新情報を調べ、場合によってはその人にどのように対応すれば良いか聞いてください。
恥ずかしいとか、迷惑かけるとか考えてはいけません。とにかく無事に日本に帰ることが重要です。
もちろん、教えてくれたり、対応してもらった場合は丁重に謝意を伝えてくださいね。