2018年から学習していた世界遺産検定ですが、ついに最上位のマイスターに認定されました!
はじめに2級を受けた時は、まさかマイスターまで取得するとは思っていませんでした・・・
今回は僕の世界遺産検定の道のりを振り返りつつ、マイスター試験の学習方法や問3の解きかた、受験時の注意ポイントなどについてお伝えします。
追 記
2023/8/21 「世界遺産マイスター検定の認定証&バッジが届きました」を追記
世界遺産検定とは
世界遺産検定とは世界遺産についての知識を問う検定で、世界遺産アカデミー(NPO法人)が主催しています。
レベルに応じて4級~準1級、1級、および最上位のマイスター試験があります。
詳しくはこちらをご覧ください。
世界遺産検定マイスターに認定されました
僕も以前から世界遺産検定の勉強を行っていましたが、2023年7月に行われた第52回検定にて、最上位のマイスターに認定されました!
これまでの道のり
僕が世界遺産検定の勉強を始めたのは2018年の春。
旅行、特に海外旅行が好きで世界遺産に興味があったのと、いずれは旅行関連の仕事をしたいと考えていたので、箔をつけて仕事を得やすくするために1級までは頑張って取得しようと考えていました。
公式テキストや過去問を見た感じでは4、3級は簡単すぎたので2級から受けることに。
そして数カ月後に行われた試験では腹痛に苦しみながらも、無事合格できました。
2級に合格した後は、本業のIT系の資格勉強と並行して1級の学習を開始。
ひととおり公式テキストを読んだのち過去問をやってみましたが、認定点には全く届かず・・・
しばらくして試験を受けてみましたが、やっぱりダメでした。
その後もあきらめずIT系の資格と並行して学習を継続。数回不合格となりましたが、ようやく合格!
1級に合格して燃え尽きたのと、もともと1級までしか受ける予定なかったのでしばらく学習は中断。
しかし「せっかくなら最後まで!」と思いなおし、マイスター試験に向けての学習を開始しました。
とりあえずネットで情報集めたり、世界遺産に関する本を読んだりしていました。
本格的にマイスター試験の学習を開始したのは2023年春。
とはいえ、通勤時間や昼休みに少し勉強するぐらいで1日あたり多くても30分ぐらいしか勉強していませんでした・・・
試験1カ月ぐらい前になってから本格的に休みの日などに問1&問2の解答例をまとめたり、問3対策として世界遺産の問題点および解決策を考えてExcelにまとめていきました。
そして2023年7月に行われた第52回検定にて、無事一発で合格することができました!
世界遺産検定マイスター試験の学習方法
僕がマイスター試験に向けて準備・学習したことを、問1~3ごとに紹介します。
問1
世界遺産に関する語句について簡潔に説明することを求められるので、それぞれの語句について40~50文字でまとめた一覧を作成しました。
まとめた語句は約100個。こんな感じでまとめました。
はじめのころは目を通すだけですが、試験1カ月前からは語句部分のみ見て、頭の中で説明できるかを確認していました。
問2
指定された4つの語句を含めて世界遺産条約を説明することを求められるので、過去問を見て指定されたことがある語句をすべてピックアップ、その語句を含めた文章を考えました。
まずはどんな語句が出されても必ず記載する基本部分(ここで世界遺産条約についての概要を説明)を作成。
その後、指定された語句を含めた要素部分を考えました。
こんな感じでまとめています(青文字部分が過去に指定されたことのある語句)。
また、本番の試験では400文字以内で解答することが求められるので、ひとまとまりごとに文字数をカウントして追記しました。
問3
そして最も対策が難しいのが問3。
まず過去試験で出題された問題を見てみると「世界遺産についてのトピックスを紹介」⇒「そのトピックスがもたらす問題を提起」⇒「関連する遺産や受験者の考えを問う」といった流れ。
問題が予想しづらいため、どんなトピックスが選ばれても対応できるように下記のことをまとめました。
・その問題点に関連する遺産
・その問題点についてどのような解決策があるか
たとえばこんな感じです。
信頼性の問題以外にも、下記の問題についてそれぞれまとめています。
・真正性
・予算不足
・オーバーツーリズム
・世界遺産が増えすぎている
・危機遺産リストへの登録拒否
・緊急的登録推薦
・都市開発と世界遺産保護
・世界遺産と領土問題
どんなトピックスであれ、だいたいは上記の問題と紐付けられます。
また、書籍やウェブサイトを見て問題点をピックアップ&解決案をまとめ、たまに内容をブラッシュアップしました。
その他
1級までの試験との最大の違いは筆記試験であること。
小論文の書き方もあいまいだったのでネット検索にて書き方を確認。
また、普段から紙に文字を書くことがほとんどなくなっているため、頻出する語句が書けるかチェック。たとえば次の語句+αが書けるかどうか確認しました。
・創造的資質
・緊急的登録推薦
・緊急援助
・遺跡
・審議
・世界遺産履行のための作業指針
・諮問機関
・緩衝地帯
・締約国
・絶滅危惧種
・財政貢献
・憲章
それ以外では世界遺産に関する本を数冊読み、世界遺産についての問題点も調べました。
この本も購入した一冊。
世界遺産アカデミーの研究員でもある宮澤さんが書いた本ですが、とても読みやすいのでオススメです。
こんな問題が出題されました
僕が受験した第52回検定(2023年7月)では次のような問題が出題されました。
問1
次の語句を簡潔に説明しなさいという問題でした。
・登録基準
・奈良文書
予想では登録基準1~10のいずれかについて問われると思っていましたが、登録基準自体の説明とは想定外でした。
また、文字数を気にせず書いてしまったので、もしかしたら50文字以上書いてしまった語句もある気がします・・・
問2
次の語句をすべて使って400字以内で世界遺産条約について説明する問題でした。
・従来とは異なる新たな破壊の脅威
・教育事業計画
・ユネスコ
このなかで「教育事業計画」はど忘れしてしまい、あいまいな回答しか書けませんでした。
また、文中で「広報」と書くつもりが、勘違いして「公報」と書いてしまう痛恨のミスも・・・
なお、事前にチェックしていた過去試験の講評では「キーワードを羅列しただけでは点数につながらない」と書かれていたので、注意しながら文章をまとめました。
問3
世界遺産についてのトピックスおよび受験者の考えについて問われます。
今回の試験問題を簡潔に書くと次のような感じ。
鉄道移設は遺産の景観保護と近隣の渋滞解消を目的とした総事業費2000億円が見込まれる大規模事業である。
この鉄道移設事業についてどのように考えるか賛否を示したうえで、その根拠や具体的な事例、比較となる世界遺産の例を挙げながら1200文字以内で論じなさい。
問3は半年以内に起こった世界遺産関連のトピックスと絡めた問題が出題されることが多いです。
今回は試験数カ月前に3遺産が緊急的登録推薦により世界遺産に登録されたため、緊急的登録推薦の問題点について問われると想定していましたが全然違いました・・・
しかし思ったより書きやすい問題で助かりました。
*問題文、および実際の解答はこちらをご覧ください(一部有料です・・・)
問3はどのように解けばいいのか?
世界遺産検定マイスター試験において問1・2は対策しやすく、世界遺産検定1級に合格した受験者であればそれほど難しくありません。
合否を分けるのは問3。
問1・2で満点を取ったとしても、合格するためには問3で最低でも10点中6点を取る必要があります。
なお、僕は次のような流れで解答しました。
1.問題文をしっかり読む
どのような試験でも同じですが、問題文をしっかり読んで解答すべきことを理解する必要があります。
今回の試験では次のことをピックアップしました。
・賛成/反対に対する根拠を示す
・関連する世界遺産の例を挙げる
2.文章構成を考える
文章構成はさまざまなパターンがありますが、僕は次の構成で書くことにしました。
② 引用(関連する世界遺産、および関連する事柄を示す)
③ 本論(莫大な費用を解決するための提案)
④ まとめ
3.プロット作成
書く内容について、箇条書きで下書き用紙の裏側に書きました。
書いた内容はだいたい次のような内容です。
・近鉄奈良線の敷地外への移設計画があったが新知事就任に伴い予算執行が停止(トピックスの繰り返し)
・移設計画については賛成である
・メリットは景観保護と渋滞解消(地元民に対しても恩恵あり)
・デメリットは莫大な総事業費
引用:
・「ドレスデン エルベ渓谷」は渋滞緩和のための架橋が景観を損なうとして世界遺産リストから抹消
・ただし近鉄奈良線の移設計画は景観保護が目的なので同じ渋滞解消が目的でもケースが異なる
・「京都」ではコンビニやカフェも看板や外観を景観になじむようにして景観を保護している
・「ポンペイ」ではソーラーパネルをテラコッタタイルになじむようにして景観を保護している
本論:
・景観保護により、美しい景観を目当てにした観光客の増加が見込める
・観光客に対する遺跡の入場料を高額にし、移設費用に充てる
4.解答用紙に書く
下書き用紙はありますが、書き写す時間が余るか不明だったので解答用紙に直接書きます。
書きはじめる前に文字数を調整しやすくするために序論・引用・本論・まとめ部それぞれ、下記の文字数目あたりにマークを付けました。
本論開始部:800文字目ぐらい
まとめ開始部:1100文字目ぐらい
あとは各パートごとに上記の文字数に近づくように、プロットに肉付けして書いていきました。
時間が余ったら下書き用紙に記載しようと思っていましたが、まったく余りませんでした・・・
なお、書く内容ですが、個人的な感想(「~と思う」や「~を願う」)ではなく、理論的に持論を展開する必要があります。
また、時間配分にも注意。
問3にかけられる時間を増やすため、下記のような配分を目安にしてください。
問2:20分(見直し含む)
問3:90分(プロット作成&見直し含む)
ただし、問3は時間配分が難しいです。
僕も問1&2は30分、問3のプロット作成は20分で完了、残りの70分かけてプロットに肉付けしながら書き上げるのみでした。
しかし最後は時間が足らなくなり、15分で約200文字を一心不乱で書き上げました・・・
*実際の解答はこちらをご覧ください(一部有料です・・・)
マイスター試験の注意点
マイスター試験は1~4級試験とは異なる注意点があります。
まず筆記試験なので鉛筆、またはシャープペンシルを持っていく必要があります。
忘れても貸してもらえることもありますが、書きなれたペンだと疲れにくいです。
また、時間配分が重要なので時計を忘れずに持っていってください。受験会場には時計がないことも多いです。
時計が無いと時間配分をしながら書くことができないので、時間を有効に使えません・・・
なお試験は途中退出不可です。
僕のようにすぐにトイレに行きたくなる人は試験に集中できなくなるので、2時間ぐらい前から水分摂取を控え、試験直前にはトイレに行っておきましょう。
試験の内容では、解答する時の文字数も重要です。
問2は400文字、問3は1200文字と指定されていますが、少なくとも指定文字数の8割書かないと減点対象となります。
なお、解答用紙には枠線が書かれているので指定文字数を超過するのもNGです。
また、忘れやすいのが問2で指定の語句に下線を引くこと。
明記されていませんが、同じ語句を数カ所書いた時は全て下線を引いておいたほうが良さそうです。
2級~マイスター試験の学習時間の比率
僕が受けた世界遺産検定の試験は2級・1級・マイスターの3つ。
それぞれの勉強時間の比率は次のような感じでした。
1 :2級
10:1級
1 :マイスター
正確な学習時間は覚えていませんが、体感の時間はこんな感じ。1級の学習にかかった時間が圧倒的に多いです。
最近は長文を書くことはほとんど無くなりましたが、学生時代は国語/現代文が得意だったのでマイスター試験を受けるときに役立ちました。
世界遺産マイスター検定の認定証&バッジが届きました
8/21に世界遺産検定事務局から封筒が届きました!
合格した時は封筒に厚みがあるので、何が入っているのか更に期待感が高まります。
封筒の中には結果および総評のほか、認定証とバッジなどが入っていました。
認定証、バッジともにゴールドに輝いています。
合格したことは世界遺産検定のサイトで確認して知っていましたが、やっぱり認定証を手にすると実感がわきます!
まとめ
マイスター試験は1級の上位に位置付けられていますが、必要な知識は全く別。
1級試験は記憶力、マイスター試験は世界遺産に対する問題点および解決策に対する自分の意見を述べることが必要です。
僕のように「1級より圧倒的に学習が楽」と感じる方もいると思うので、1級保持者は一度受験してみてはいかがでしょうか?