僕にはずっと気になっていることがあります。
それは『世界遺産が多すぎる』こと。
現在は1,200件近いの世界遺産が認定されています。
今回は、なぜこれだけ世界遺産が増えてしまったのか?このままではマズイのでは?といったことを考えてみました。
そもそも世界遺産とは何?
世界遺産をカンタンに説明すると、『地球が誕生してから生まれた自然と人間が作り出した建造物のうち、未来へ伝えていくべき遺産』のことです。
くわしい説明はコチラをご覧ください。
世界遺産へ登録されることのメリット
第41~45回世界遺産委員会で認定された世界遺産の数は次のとおり。
- 第41回:21件
- 第42回:19件
- 第43回:29件
- 第44回:34件(1件は登録抹消)
- 第45回:45件(うち3件は臨時会議での緊急登録)
・・・最近5回で、なんと147件も増えています。
世界遺産に登録されることの最大のメリットは『観光客の増加』。
知名度が向上したことにより、観光客が急増します。
また、遺産を保全する場合、世界遺産条約締約国が支払っている拠出金を利用できたり、技術的な援助を受けられるメリットがあります。
そんなに増えて大丈夫?
2023年時点では世界遺産への登録審議件数の上限は35件。
しかし、それほど世界遺産に登録すべき場所があるのでしょうか?
世界遺産の登録が始まった当初はイエローストーン国立公園やタージマハル、万里の長城など『だれが見ても世界遺産にふさわしい』場所ばかりでしたが、最近はそうではありません。
具体名は伏せますが、工場群だったり茶畑だったり、どこにでもあるような寺院だったり・・・
その国独自での価値はあったとしても、地球全体でみると特筆すべき価値はないな・・・というものが多いです。
2019年に登録された世界遺産にはミャンマーのバガン遺跡のように素晴らしい場所もありますが、「これが登録されたの?」という場所もあります。
世界遺産が増え続けることのデメリット
世界遺産が増え続けることにより『特別感』が失われます。
100件だけというのと1,000件を超える数があるのでは、やっぱり数が少ない方が価値があります。
質も玉石混交なので、『世界遺産に登録された=素晴らしい場所である』とは考えづらくなります。
また、遺産が増えても、世界遺産条約締約国が増えないかぎり拠出金額は同じなので、そのぶん一つの遺産に充てられる額は少なくなります。
さらに個人的なデメリットも。
僕が認定を目指している世界遺産検定1級の試験範囲は全ての世界遺産+αなので、年々試験範囲が広がり続けるという恐ろしい状態なのです・・・
追 記 2023/9/21
なんとか世界遺産検定1級、およびマイスター試験に合格しました。
なぜ世界遺産は増え続ける?
世界遺産に認定するかどうかは事前に専門機関が調査し、調査結果を勧告します。
実際に世界遺産に認定されるかは世界遺産遺産委員会で勧告等をもとに審議され、正式に登録されるかどうかが決まります。
現在問題となっているのが、専門機関による調査で『不登録』と勧告されても、世界遺産委員会での審議の結果、逆転で『登録』されるケースがあること。
『不登録』から『登録』の間にも何段階かあり、普通に考えると『不登録』→『登録』となることはありえません。
しかし、世界遺産委員会での審議や投票の結果、『不登録』→『登録』となるケースがあります。
おそらくロビー活動や世界遺産申請国の立場の強さなどにより、そのような結果となってしまうものと思われます・・・
すでに誰もがすばらしいと思う世界遺産は(ほぼ)出尽くしているので、今後増えれば同じ量のカルピスの原液を水で薄め続けるみたいなものです。
増え続けることへの対策
世界遺産が増えることについて、何も手を打っていない訳ではありません。
現在は1つの国が1度に推薦できる数を制限したり、1回の世界遺産委員会で審議する数を制限しています。
しかし、世界遺産全体の上限は決められていないので、このままだと増え続けることは確実です。
まとめ
価値の低い世界遺産が登録されることにより、世界遺産全体の価値が下がります。
登録件数が1,000件を大きく超えた今、あらためて世界遺産のあり方を見直す時期に来ているのでは?と思います。